僕は昔から怪談が大好きで、洒落怖・怪談番組・怪談動画・怪談イベント・怪談大会・怪談本などを通じて一年中怪談を楽しんでおり、これまでに数千話の怪談を読んだり聞いたりしてきました。
とくに怪談本は毎月のように購入し読んでいるため、本の購入を悩んでいる方の参考になればと思い、自分用の記録も兼ねて、実際に読んだ怪談本のレビューを残しておこうと思います。
過去に読んでレビューをしてない本も大量にありますが、もう一度読んでレビューするのは時間的に難しいため、過去に読んだ本に関しては気が向いたらレビューを行います。
今回は、深津さくらさんの「怪談まみれ」をレビューしていきます。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
怪談の評価基準
怪談の好みは人それぞれありますが、僕の場合は以下の基準で評価を行います。
プラス評価 | マイナス評価 |
---|---|
リアリティがある 単純に怖い 不気味な雰囲気がある 不思議で謎めいている 何かロマンを感じる 興味深い ワクワクして面白い 感動する | 創作感が強い 話に矛盾がある 脚色しすぎている ありきたり どこかで聞いたことがある 読んでも何も感じない 単純につまらない |
まず大前提として、僕は本当にあった怪異や不思議な出来事を語る「実話怪談」が好きなので、あまりにも現実離れし過ぎている話や、矛盾がある怪談は評価が低くなります。
また著者の地位・知名度・人気度・好感度などには一切忖度せず、レビューを読んでくれる方の参考になるように、純粋に本の内容だけを見て厳しくレビューを行います。
基本的に僕の評価は少し厳し目なので、通販サイトのレビューよりも点数が低くなる傾向があります。
「怪談まみれ」レビュー
著者 | 深津さくら |
---|---|
出版元 | 二見書房 |
発売日 | 2021/07/15 |
話数 | 43話収録 |
Amazon評価 | 4.5 |
大学時代に美術と実話怪談を研究し、2018年より怪談師として活動開始。関西を中心にイベント・メディア出演を行っている。OKOWAチャンピオンシップ2019ベスト4。
収録されている怪談のタイトルと一話ごとの評価は以下の通りです。
一応どんな話だったのかジャンルを表記していますが、人によって「不思議な話」と感じる方もいれば「怖い話」と感じる方もいると思うので、あくまでも参考程度にしてください。
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | お城 | 不思議 | 3.0 |
#2 | マジック | 不思議 | 4.0 |
#3 | 美術館 | 不思議 | 3.0 |
#4 | 予備校 | 不思議 | 3.0 |
#5 | 大使館 | 不思議 | 3.5 |
#6 | 煙 | 不思議 | 3.5 |
#7 | プール | 不思議 | 3.5 |
#8 | 怖い通り | 不思議 | 3.5 |
#9 | 放課後 | 怖い | 3.0 |
#10 | 地底 | 怖い | 3.0 |
#11 | 清掃 | 不思議 | 3.0 |
#12 | こけし | 不思議 | 3.5 |
#13 | 海の道 | 怖い | 3.5 |
#14 | フィギュア | 不思議 | 3.0 |
#15 | コーラス | 不思議 | 3.0 |
#16 | 鶏 | 不思議 | 3.0 |
#17 | 手を組んで見る夢 | 不思議 | 3.0 |
#18 | 留学 | 怖い | 3.5 |
#19 | 映画 | 不思議 | 3.0 |
#20 | チラシ | 怖い | 3.0 |
#21 | 酒 | 不思議 | 3.5 |
#22 | 訪問 | 怖い | 3.5 |
#23 | 朝の海 | 不思議 | 3.0 |
#24 | カレーと兵隊 | 怖い | 3.0 |
#25 | 家族旅行 | 不思議 | 4.0 |
#26 | 感染 | 怖い | 3.0 |
#27 | 深夜高速 | 不思議 | 3.5 |
#28 | ターミナル | 不思議 | 3.0 |
#29 | 女と夜 | 怖い | 3.0 |
#30 | 空き地 | 不思議 | 3.0 |
#31 | 登り窯 | 不思議 | 3.5 |
#32 | 幽閉 | 怖い | 3.5 |
#33 | 踏む | 怖い | 3.0 |
#34 | 祖父の山 | 不思議 | 3.0 |
#35 | すきま | 怖い | 3.0 |
#36 | プレゼント | 不思議 | 3.0 |
#37 | 恋人たち | 不思議 | 3.0 |
#38 | 遭遇 | 不思議 | 3.0 |
#39 | 廊下 | 不思議 | 3.0 |
#40 | 自画像 | 不思議 | 3.0 |
#41 | 性 | 不思議 | 3.0 |
#42 | 瞑目 | 不思議 | 3.0 |
#43 | 掃除 | 不思議 | 3.5 |
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | お城 | 不思議 | 3.0 |
#2 | マジック | 不思議 | 4.0 |
#3 | 美術館 | 不思議 | 3.0 |
#4 | 予備校 | 不思議 | 3.0 |
#5 | 大使館 | 不思議 | 3.5 |
#6 | 煙 | 不思議 | 3.5 |
#7 | プール | 不思議 | 3.5 |
#8 | 怖い通り | 不思議 | 3.5 |
#9 | 放課後 | 怖い | 3.0 |
#10 | 地底 | 怖い | 3.0 |
#11 | 清掃 | 不思議 | 3.0 |
#12 | こけし | 不思議 | 3.5 |
#13 | 海の道 | 怖い | 3.5 |
#14 | フィギュア | 不思議 | 3.0 |
#15 | コーラス | 不思議 | 3.0 |
#16 | 鶏 | 不思議 | 3.0 |
#17 | 手を組んで見る夢 | 不思議 | 3.0 |
#18 | 留学 | 怖い | 3.5 |
#19 | 映画 | 不思議 | 3.0 |
#20 | チラシ | 怖い | 3.0 |
#21 | 酒 | 不思議 | 3.5 |
#22 | 訪問 | 怖い | 3.5 |
#23 | 朝の海 | 不思議 | 3.0 |
#24 | カレーと兵隊 | 怖い | 3.0 |
#25 | 家族旅行 | 不思議 | 4.0 |
#26 | 感染 | 怖い | 3.0 |
#27 | 深夜高速 | 不思議 | 3.5 |
#28 | ターミナル | 不思議 | 3.0 |
#29 | 女と夜 | 怖い | 3.0 |
#30 | 空き地 | 不思議 | 3.0 |
#31 | 登り窯 | 不思議 | 3.5 |
#32 | 幽閉 | 怖い | 3.5 |
#33 | 踏む | 怖い | 3.0 |
#34 | 祖父の山 | 不思議 | 3.0 |
#35 | すきま | 怖い | 3.0 |
#36 | プレゼント | 不思議 | 3.0 |
#37 | 恋人たち | 不思議 | 3.0 |
#38 | 遭遇 | 不思議 | 3.0 |
#39 | 廊下 | 不思議 | 3.0 |
#40 | 自画像 | 不思議 | 3.0 |
#41 | 性 | 不思議 | 3.0 |
#42 | 瞑目 | 不思議 | 3.0 |
#43 | 掃除 | 不思議 | 3.5 |
印象的だった怪談
印象的だった怪談を1話ピックアップして、簡単にあらすじを紹介します。
マジック
心配性な両親のもとで一人娘として育った秦さんにとって、大学進学を機にはじめた一人暮らしは初めて味わう自由だった。
好きな格好をして夜遅くまで遊ぶのも、どこで何を食べるのも、欲しいものを欲しいときに買うのもすべて自分の選択次第だった。
やがて、学内で山内という友人ができた。彼女は遊びに長けていて、秦さんと同じ時期に地方から上京してきたとは思えないほどに美味しい店や変な人間が集まる店をよく知っていた。休みの日にはよく山内が提案する場所へ遊びにいき、時には羽目を外して楽しんでいた。
その夜は都内へ出て何軒かの店をはしごしていた。
ひと気のない入り組んだ路地の真ん中あたりまで来たとき、山内が営業中のバーの看板を見つけた。暗い階段を上って二階の扉を開けると、小さなカウンターを囲む客たちがいっせいにこちらを振り向いた。高齢の男性ばかりだったので秦さんは少しひるんだが、店主に促されるまま席に腰掛けて、酒を注文した。秦さんは一杯だけ飲んで店を出るつもりだったが、山内はあっという間に店主や常連客と打ち解けて酒を追加した。
夕方から酒を飲んだ疲れを感じはじめた秦さんはだんだんと場の話についていけなくなり、暗い店のなかをぼうっと眺めた。そして隅のテーブル席に座っている男性の存在に気がついた。客の中でも特に高齢と思しき男性は、骨張って尖った手で寡黙にトランプを交ぜていた。
秦さんの視線に気がついた店主が男性に向けて「女の子たちにマジックしてあげたら」と呼びかけた。男性はうなずき、秦さんたちはほかの客が気を利かせて譲ってくれた席へと移動することになったのだが…。
まとめ
がお的総合評価 | 4.0 |
---|
「怪談まみれ」は深津さんの2冊目の著書で、街の怪・家の怪・食の怪・野の怪・人の怪と怪異ごとに章が分かれており、43話収録されています。
”怪談”は読んで字のごとく”あやしいはなし”全般を指すので、決して怖い話だけが怪談ではなく、感動する話や面白い話、不思議な話や悲しい話など色々あります。
今作「怪談まみれ」は怪談の大会で語られるような怖さだけを追求した話ではなく、深津さんの優しい文章に包まれた不思議な話が多かったです。
また文章表現が秀逸で、物語を読んでいるかのように引き込まれ、本編だけでなく”はじめに”から”あとがき”まで余すことなく非常に楽しめました。
怪談ファンだけでなく、怪談に興味があるけれど怖すぎる話は苦手という方にもおすすめしたい一冊です。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
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