スタジオジブリの人気作品のひとつである「千と千尋の神隠し」ですが、作中に出てくる「油屋」は非常に雰囲気のある建物で、あの雰囲気を実際に味わえる場所があるのなら行ってみたいと思いませんか?
日本各地には「油屋」の雰囲気に似ているノスタルジックなスポットや、スタジオジブリ公式がモデル地として認めているスポットがいくつかあります。
そこで今回は「千と千尋の神隠し」に出てくる「油屋」のモデルになった温泉旅館などを徹底解説します。

「千と千尋の神隠し」の雰囲気っていいよね。



あの雰囲気は私も好き!



あの雰囲気を味わえる温泉旅館があるって知ってた?



聞いたことはあるけど、詳しくはわからないなー。



じゃこれから紹介するから楽しみにしてて。



わーい!
「油屋」のモデル地について
映画公開直後から「油屋」のモデルはどこか?と、多くの方から問い合わせが来ていたことから、広報の方が宮崎駿監督に直接聞いたことがあるそうで、その際宮崎監督は以下のようにおっしゃったそうです。
「色々な温泉が入っていて特定のモデルはないけれど、道後温泉は確かに入っている」
ジブリ日記
また、雰囲気が似ている旅館がいくつかあることに関して、広報の方が以下のように記しています。
ちょっと昔の日本では珍しくなかった建物を「象徴的に再現」している
ジブリ日記
要するに「特定のモデル地はないけれど、いくつかの温泉は参考にしており、昔の日本によくあった建物を再現していることから、似ている温泉旅館が存在していてもおかしくない」ということのようです。
「湯屋」と「油屋」について
ときどき「湯屋」と「油屋」を混同している方がいますが、「湯屋(ゆや)」はお風呂屋のことを指す言葉で、「油屋(あぶらや)」はお店の名前(屋号)を指します。
- 湯屋;お風呂屋のこと
- 油屋:お店の名前のこと(屋号)
簡単に言えば、作中に出てくるのは「油屋(あぶらや)」という名前のお風呂屋(湯屋)です。
「油屋」の公式モデル地
ここでは公式にモデル(参考)にしたと発表されている場所を紹介します。
愛媛県「道後温泉本館」


愛媛県松山市にある「道後温泉本館(どうごおんせんほんかん)」は、1894年(明治27年)に建てられた温泉共同浴場で、1994年(平成6)に国の重要文化財に指定された他、2009年(平成21年)には経済産業省の近代化産業遺産にも認定されました。
また、2009年のミシュランガイド(観光地)日本編において、2つ星に選定されました。
スタジオジブリ公式サイトの”ジブリ日記”によると、「油屋」のモデルはどこかという質問に、宮崎駿監督は「色々な温泉が入っていて特定のモデルはないけど、道後温泉は確かに入っている」と答えています。
温泉施設なので宿泊はできませんが、近くに宿泊施設がたくさんあります。
群馬県「四万温泉 積善館本館」


群馬県吾妻郡にある「四万温泉 積善館本館(せきぜんかんほんかん)」は、1694年(元禄7年)に創業した老舗温泉旅館で、現存する日本最古の木造湯宿建築と伝えられており、群馬県の重要文化財にも指定されている歴史的価値の高い建物です。
2008年に東京都現代美術館にて「スタジオジブリ・レイアウト展」が開催されましたが、その前日に「スタジオジブリ・レイアウト展特番」が日本テレビで放送され、その番組内で積善館が油屋のモデルの一つと紹介されました。
本館に架かる赤い橋もさることながら、橋の右側にある建物は作中に出てくる油屋の女中部屋に雰囲気がそっくりです。
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東京都「ホテル雅叙園東京」


東京都目黒区にある「ホテル雅叙園東京(がじょえんとうきょう)」は、1928年(昭和3年)に創業した豪華絢爛なホテルで、当時は”昭和の龍宮城”と呼ばれていました。
ルーツを辿れば、元々は創業者の細川力蔵が、芝浦にあった自宅を改築して始めた純日本式料亭「芝浦雅叙園」という高級料亭でした。
その後、1931年(昭和6年)に庶民や家族連れのお客さんも気軽に入れる料亭として目黒に誕生したのが、「目黒雅叙園」で、2017年4月1日に「ホテル雅叙園東京」に名称が変更になりました。
ホテル雅叙園東京(当時は目黒雅叙園)も日本テレビで放送された「スタジオジブリ・レイアウト展特番」で、油屋のモデルの一つと紹介されました。
ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたる場所は、通称「百段階段」と呼ばれており、1935年(昭和10年)に建てられた建物で唯一現存する木造建築で、東京都の有形文化財に指定されています。
その「百段階段」の途中には7つの部屋があり、それぞれ趣向が異なる当時の著名な画家たちが創り上げた美の世界が描かれており、各部屋の豪華な創りが油屋のモデルになっています。
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東京都「江戸東京たてもの園 子宝湯」


東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園 子宝湯(こだからゆ)」は、失われてゆく江戸・東京の歴史的な建物を移築保存し展示している野外博物館で、「子宝湯」は下町の町並みが再現されている東ゾーンにあります。
元々は、1929年(昭和4年)に足立区千住に建てられた宮造りの銭湯でした。
ちなみに江戸東京たてもの園のマスコットキャラクター「えどまる」は、緑豊かな野外博物館のマスコットにふさわしい色をイメージし虫をテーマに、宮崎駿監督が制作したものです。
スタジオジブリ公式サイトの”ジブリ日記”によると、「商店街の一角にそびえ立つ銭湯」について、大いにインスピレーションを与えたのは、「江戸東京たてもの園の子宝湯」です。と書かれています。
江戸東京たてもの園 子宝湯 | |
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住所 | 〒184-0005 東京都小金井市桜町3丁目7-1 |
電話番号 | 042-388-3300 |
観覧料 | 観覧料はこちらを参照 |
公式サイト | 確認する |
江戸東京たてもの園 子宝湯 | |
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住所 | 〒184-0005 東京都小金井市桜町3丁目7-1 |
電話番号 | 042-388-3300 |
観覧料 | 観覧料はこちらを参照 |
公式サイト | 確認する |
雰囲気が似ているスポット
ここからはファンの間で「千と千尋の神隠し」の雰囲気にそっくりで、「もしかして参考にしたのではないか?」と噂される人気スポットを紹介します。
宮城県「時音の宿 湯主一條」


宮城県白石市にある「時音の宿 湯主一條(ゆぬしいちじょう)」は、1560年(永禄3年)に創業した老舗旅館で、木造一部4階建ての本館は宮大工の手によって、釘を一本も使うことなく建てられました。
その後、2004年(平成16年)に木造本館の一部は個室料亭へ改装し、2008年(平成20年)に全館総リニューアルしています。
2016年(平成28年)には、木造本館2棟と土蔵が国の登録有形文化財に指定されました。
現在個室料亭として使用されている建物が、油屋の女中部屋に雰囲気が似ていると言われています。
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山形県「銀山温泉 能登屋旅館」


山形県尾花沢市にある「銀山温泉 能登屋旅館」は、1892年(明治25年)に創業した大正ロマンあふれるレトロな雰囲気の旅館で、国の登録文化財に指定されています。
創業者は銀山温泉の祖でもある「木戸佐左エ門」で、旅館の正面右手側に名前が記された鏝絵(こてえ)があります。
銀山温泉は川沿いに湧き出した源泉をそのまま内湯にして旅館を建てたのが始まりで、温泉街には12の旅館があります。
温泉街全体がノスタルジックな雰囲気ですが、その中でもとくに人気なのが「能登屋旅館」で、旅館正面に架かる橋や建物の雰囲気が「油屋」によく似ています。
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長野県「歴史の宿 金具屋」


長野県下高井郡にある「歴史の宿 金具屋(かなぐや)」は、1758年(宝暦8年)に創業した老舗の温泉宿で、元々は鍛冶屋(金具師)を営んでいました。
その後、1754年(宝暦4年)に土砂崩れで被災した際、復興中に敷地から温泉が湧き出たため、「金具屋」と命名し温泉宿を始めたとされています。
2003年(平成15年)には、金具屋の建物のひとつである「木造四階建 斉月楼」と「金具屋大広間」が国の登録有形文化財に指定されました。
ライトアップされた宿の外観が非常にノスタルジックで、「油屋」の雰囲気に似ていて人気の撮影スポットにもなっています。
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栃木県「鬼怒川温泉 あさや」


栃木県日光にある「鬼怒川温泉 あさや」は、1888年(明治21年)に創業した老舗の温泉旅館で、鬼怒川温泉郷で最大手の宿泊施設です。
吹き抜けのロビーが圧巻で、上から見下ろす(見下される)感じが「油屋」に似ていると話題になりました。
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東京都「江戸東京たてもの園 武居三省堂」


東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園 武居三省堂(たけいさんしょうどう)」は、下町の町並みが再現されている東ゾーンの「子宝湯」のすぐ近くにあります。
元々は明治初期に創業した文具店で、当初は書道用品の卸をしていましたが、のちに小売店に変わりました。
建物内の無数にある引き出しが、作中に出てくる釜爺が働くボイラー室とそっくりなため、ファンの間では「武居三省堂」をモデルにしたのではないかと言われています。
江戸東京たてもの園 武居三省堂 | |
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住所 | 〒184-0005 東京都小金井市桜町3丁目7-1 |
電話番号 | 042-388-3300 |
観覧料 | 観覧料はこちらを参照 |
公式サイト | 確認する |
江戸東京たてもの園 武居三省堂 | |
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住所 | 〒184-0005 東京都小金井市桜町3丁目7-1 |
電話番号 | 042-388-3300 |
観覧料 | 観覧料はこちらを参照 |
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神奈川県「鶴巻温泉 元湯陣屋」


神奈川県秦野市にある「鶴巻温泉 元湯陣屋(じんや)」は、1918年(大正7年)に創業した老舗旅館で、将棋のタイトル戦が行われることで有名です。
敷地には1万坪の庭園が広がっており、桜や梅、竹林や紅葉など四季折々の日本庭園を楽しめます。
「元湯陣屋」は宮崎駿監督の親戚が女将を務めており、幼少期の監督もこの庭でよく遊んでいたそうで、ジブリ作品にも影響を与えたと言われています。
実際、陣屋の入り口を入ってすぐ右手にトトロのモデルになったとされる「トトロの楠」がありますし、さらに少し進んだ左手には「油屋」のモデルになったとされる「賑わい亭」があります。
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岡山県「元禄旅籠 油屋」


岡山県真庭市にある「元禄旅籠 油屋(あぶらや)」は、1688年(元禄元年)に創業した老舗旅館で、昔から旅人に道中の灯りの油を提供していたことから「油屋」と呼ばれていました。
建物の雰囲気が似ているだけでなく、「油屋」という屋号まで一致しています。
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台湾「阿妹茶樓(阿妹茶酒館)」


台湾の九份(きゅうふん)にある「阿妹茶樓(阿妹茶酒館)」は、九份と言えば「阿妹茶樓(あーめいちゃーろう)」というくらい一番有名なカフェです。
見るからに千と千尋の神隠しの雰囲気そっくりでかなり話題になりましたが、宮崎駿監督は「九份はモデルではない」とはっきりと答えています。
しかし赤い提灯が大量にぶら下がっていてノスタルジックな雰囲気が非常に似ており、世界中から観光客が訪れている大人気スポットです。
番外編
霧のむこうのふしぎな町
「霧のむこうのふしぎな町」は千と千尋の神隠しに影響を与えた本として、当時のパンフレットで紹介されました。
また豆知識ですが、スタジオジブリ作品の「耳をすませば」で、天沢聖司が図書館で「霧のむこうのふしぎな町」を読んでいるシーンがあります。
まとめ
千と千尋の神隠しは油屋だけでなく、両親が豚に変えられたお店などが立ち並ぶノルタルジックな雰囲気の町並みも魅力的ですよね。
今回紹介したスポットはどれも雰囲気があり素敵な場所ばかりなので、機会があればぜひ足を運んで雰囲気を味わってみてください。
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