僕は昔から怪談が大好きで、洒落怖・怪談番組・怪談動画・怪談イベント・怪談大会・怪談本などを通じて一年中怪談を楽しんでおり、これまでに数千話の怪談を読んだり聞いたりしてきました。
とくに怪談本は毎月のように購入し読んでいるため、本の購入を悩んでいる方の参考になればと思い、自分用の記録も兼ねて、実際に読んだ怪談本のレビューを残しておこうと思います。
過去に読んでレビューをしてない本も大量にありますが、もう一度読んでレビューするのは時間的に難しいため、過去に読んだ本に関しては気が向いたらレビューを行います。
今回は、夜馬裕さんの「厭談 戒ノ怪」をレビューします。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
怪談の評価基準
怪談の好みは人それぞれありますが、僕の場合は以下の基準で評価を行います。
プラス評価 | マイナス評価 |
---|---|
リアリティがある 単純に怖い 不気味な雰囲気がある 不思議で謎めいている 何かロマンを感じる 興味深い ワクワクして面白い 感動する | 創作感が強い 話に矛盾がある 脚色しすぎている ありきたり どこかで聞いたことがある 読んでも何も感じない 単純につまらない |
まず大前提として、僕は本当にあった怪異や不思議な出来事を語る「実話怪談」が好きなので、あまりにも現実離れし過ぎている話や、矛盾がある怪談は評価が低くなります。
また著者の地位・知名度・人気度・好感度などには一切忖度せず、レビューを読んでくれる方の参考になるように、純粋に本の内容だけを見て厳しくレビューを行います。
基本的に僕の評価は少し厳し目なので、通販サイトのレビューよりも点数が低くなる傾向があります。
「厭談 戒ノ怪」レビュー
著者 | 夜馬裕 |
---|---|
出版元 | 竹書房 |
発売日 | 2021/12/27 |
話数 | 18話収録 |
Amazon評価 | 4.5 |
相方のインディと怪談師コンビ「ゴールデン街ホラーズ」を結成。カクヨム異聞選集コンテスト大賞。第7回幽怪談実話コンテスト優秀賞。怪談最恐戦2020優勝。話数の豊富さと、練られた構成の怪談には定評がある。
収録されている怪談のタイトルと一話ごとの評価は以下の通りです。
一応どんな話だったのかジャンルを表記していますが、人によって「不思議な話」と感じる方もいれば「怖い話」と感じる方もいると思うので、あくまでも参考程度にしてください。
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | 特別室 | 怖い | 3.5 |
#2 | お籠めさま | 興味深い | 4.0 |
#3 | お絵描き | 怖い | 3.5 |
#4 | ゆれる影 | 怖い | 4.0 |
#5 | まごころの椅子 | 不思議 | 3.5 |
#6 | 事故現場 | 不思議 | 3.5 |
#7 | 逃げ回る男 | 怖い | 3.5 |
#8 | しもべより | 怖い | 3.5 |
#9 | さらわれた女 | 不思議 | 3.5 |
#10 | すねこすり | 不思議 | 3.5 |
#11 | 墳墓の丘 | 奇妙 | 4.0 |
#12 | 一番の親友 | 切ない | 3.0 |
#13 | 愛犬 | 怖い | 4.0 |
#14 | 子どもをよろしく | 怖い | 3.5 |
#15 | 隣人奇譚 | 不気味 | 4.0 |
#16 | ダメかもしれない | 怖い | 3.0 |
#17 | お嫁さん儀式 | 怖い | 4.5 |
#18 | 交差点 | 奇妙 | 3.5 |
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | 特別室 | 怖い | 3.5 |
#2 | お籠めさま | 興味深い | 4.0 |
#3 | お絵描き | 怖い | 3.5 |
#4 | ゆれる影 | 怖い | 4.0 |
#5 | まごころの椅子 | 不思議 | 3.5 |
#6 | 事故現場 | 不思議 | 3.5 |
#7 | 逃げ回る男 | 怖い | 3.5 |
#8 | しもべより | 怖い | 3.5 |
#9 | さらわれた女 | 不思議 | 3.5 |
#10 | すねこすり | 不思議 | 3.5 |
#11 | 墳墓の丘 | 奇妙 | 4.0 |
#12 | 一番の親友 | 切ない | 3.0 |
#13 | 愛犬 | 怖い | 4.0 |
#14 | 子どもをよろしく | 怖い | 3.5 |
#15 | 隣人奇譚 | 不気味 | 4.0 |
#16 | ダメかもしれない | 怖い | 3.0 |
#17 | お嫁さん儀式 | 怖い | 4.5 |
#18 | 交差点 | 奇妙 | 3.5 |
印象的だった怪談
印象的だった怪談を1話ピックアップして、簡単にあらすじを紹介します。
お籠めさま
今から二十年ほど前、仁志さんが三十代前半の頃、母方の伯母が病死した。生涯独身を貫いた人で、配偶者や子どももいない。
妹にあたる仁志さんの母親は早くに亡くなっているため、伯母が長年暮らした日本家屋の一軒家は、甥である仁志さんが相続することになった。
とはいえ、伯母の家は北関東の山間部にあり、東京で働く仁志さんには不便過ぎて住むことができない。売却も考えたが、かなりの田舎なので、土地まで含めても二束三文にしかならないことを知ると、手先が器用でDIYの得意な仁志さんは、この家を自分の手でリフォームして、休日に訪れる別荘へ改築しようと考えた。
平日は東京で働いて、金曜の夜になると車を走らせ伯母の家へ行き、土日の二日間かけて、徐々に家の中を作り替える。伯母が数十年にわたり使い古した状態なので、綺麗に整えるには時間を費やしたが、そんな生活を半年間も続けるうちに、ようやく最後のひと部屋までリフォームが進んだ。
残すは伯母が寝室にしていた奥の間のみだが、作業に取り掛かろうと天井から吊るされた掛け軸を外すと、後ろから予想もしていなかったものが現れた…。
まとめ
がお的総合評価 | 4.5 |
---|
「厭談 戒ノ怪」は、夜馬裕さんの2冊目の単著で、長編3割・短編1割・残り6割といった構成になっており、とくに以下の怪談に関しては読み応えがあり非常に良かったです。
- お籠めさま
- ゆれる影
- 墳墓の丘
- 愛犬
- 隣人奇譚
- お嫁さん儀式
一見すると、収録されている18話はそれぞれが独立した怪談ですが、読み進めていくと裏で繋がっている話がいくつもあり、すべて読み終えたあとにまた最初から読み直したくなりました。
ちなみに今作には、夜馬裕さんの友人が失踪した話が2話収録されており、「墳墓の丘」は高校時代の友人が失踪した話で、「隣人奇譚」は大学時代の友人が失踪した話です。
前作に続き今作も非常に素晴らしい怪談本でした。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
コメント