僕は怪談が好きなので、ほぼ毎月怪談本を購入しているのですが、レビューなどを残したことがなかったので、備忘録も兼ねてこれからはなるべく読んだ怪談本のレビューをしていこうと思います。
過去にも100冊くらい読んでいますが、もう一度全部読み返してレビューするのはちょっと大変なので、過去に読んだ本に関しては気が向いたらレビューしようかなと思います。
今回は匠平さんの「北縁怪談(ほくえんかいだん)」をレビューしていきます。
「北縁怪談」レビュー
タイトル | 北縁怪談 |
著者 | 匠平 |
出版元 | 竹書房 |
発売日 | 2020/10/29 |
話数 | 29話(223ページ) |
Amazon評価 | 4.3 |
北海道江別市生まれのプロ怪談師。地元の高校を卒業後、当初は専門学校を経て整体師として勤務するが、その後、札幌すすきのにオープンした日本で唯一の怪談ライブバー「スリラーナイト」に語り手として転職。現在は怪談師として、札幌と東京の歌舞伎町にある同店の2号店を往復する多忙な日々を送りつつ、怪談最恐戦やOKOWAなど各地のイベントや大会にも参加している。
怪談は一話ごとに評価をしていきますが、基本的な評価基準は以下です。
収録されている怪談と一話ごとの評価は以下ですが、ジャンルは人によって「不思議な話」と感じる方もいれば「怖い話」と感じる方もいると思うので、あくまでも参考程度に捉えてください。
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | 中央区円山のMマンション | 怖い | 3.0 |
#2 | H和の滝の人たち | 怖い | 3.0 |
#3 | オロロンラインで憑いたもの | 怖い | 2.5 |
#4 | イタンキ浜の記憶 | 怖い | 3.5 |
#5 | 光の玉の正体 | 怖い | 2.5 |
#6 | ホテルRの怪異 | 怖い | 2.5 |
#7 | G稜郭公園から来た女 | 怖い | 4.0 |
#8 | 帰り道のW緑地 | 怖い | 3.0 |
#9 | 護ってくれている | イイ話 | 4.0 |
#10 | 洗濯ネットを揺らすのは | 不思議 | 2.0 |
#11 | K小学校に今もいる | 怖い | 3.5 |
#12 | ローカルアイドルのガチファン | 怖い | 3.0 |
#13 | 魂だと思う | 不思議 | 3.0 |
#14 | 夏休みの夜遊び | 不思議 | 3.0 |
#15 | 天使の手 | イイ話 | 4.0 |
#16 | 勘違い | おもしろ | 3.0 |
#17 | 半分と半分 | 怖い | 3.5 |
#18 | H病院で喰われた話 | 怖い | 3.5 |
#19 | 鍋パーティーで知ったこと | 怖い | 3.5 |
#20 | 呪いの人形 | 怖い | 3.0 |
#21 | 猿鬼 | イイ話 | 4.0 |
#22 | あの夜のなにか | 怖い | 3.5 |
#23 | 前方不注意 | 怖い | 3.0 |
#24 | 互いに見ている | 怖い | 3.5 |
#25 | 三笠の賽の河原 | 不思議 | 3.0 |
#26 | 赤い傘とK団地 | 怖い | 3.0 |
#27 | T北高校の廊下 | 怖い | 3.0 |
#28 | 廃墟に棲む白い影 | 怖い | 3.5 |
#29 | 深夜の店に響く怪異 | 怖い | 3.5 |
ピックアップ
ここでは印象的だった怪談をいくつかピックアップして、簡単にあらすじを紹介します。
天使の手
長男、長女、次男、三男の4人の子どもをもつ女性が体験した心温まる不思議なお話で、長女のきーちゃんが5歳の頃に前世の記憶があり、”とある理由”でこの女性の元に生まれてきたと不思議なことを話し始める。
初めはアニメや漫画などの影響でそういう話をしているのだろうと思っていた女性ですが、話を進めていくうちにきーちゃんが”知るはずもないこと”を言い当て、この子の言っていることは本当なんだと確信に変わる。
きーちゃんの前世の記憶とは?そしてこの女性に起きた奇跡のような体験とは…。
猿鬼
ある男性がやたらついていない時期があり、知り合いの霊媒師的な活動もしている占い師の方に相談したところ、「猿鬼」という猿の姿をした妖怪が憑いていると言われる。
「猿鬼」の額には普段は閉じている第三の目があり、この目が開くと近くにいる生物の命を奪ってしまうというが、その占い師の話では「あなたに猿鬼が憑いてから、すでに三回も目が開けられている。しかし、その三回ともあなたは何者かに守られている」という。
そしてこの話を聞いた男性には、ある思い当たる出来事があった…。
まとめ
がお的総合評価 | 3.5 |
少し気になったのが、怪談の冒頭部分に「○○の体で読んでもらいたい」や「○○目線でまとめた」と書かれていることが多く、もう少し導入部分をどうにかできなかったのかなと気になりました。
たとえば怪談の”実話感”を増すためには「これは僕が○○の頃に○○で知り合った○○という30代の男性から聞いた話だ。」や「これは○年前に僕が○○に行った時に知り合った○○という20代の女性から聞いた話です。」みたいに、いつどこで誰から聞いた話なのかを紹介するのはいいです。
しかし「○○の体で読んでもらいたい」というのは、わざわざ書かなくても「○○の体」になるように文章を書けばいいのではないかと思います。
とは言ってもAmazonでの評価も高いですし、僕個人としても”身の毛がよだつ”とか”ゾクッとする”ほど怖い話はありませんでしたが、怖い話を中心にイイ話や不思議な話も散りばめられており楽しめました。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。

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