僕は昔から怪談が大好きで、洒落怖・怪談番組・怪談動画・怪談イベント・怪談大会・怪談本などを通じて一年中怪談を楽しんでおり、これまでに数千話の怪談を読んだり聞いたりしてきました。
とくに怪談本は毎月のように購入し読んでいるため、本の購入を悩んでいる方の参考になればと思い、自分用の記録も兼ねて、実際に読んだ怪談本のレビューを残しておこうと思います。
過去に読んでレビューをしてない本も大量にありますが、もう一度読んでレビューするのは時間的に難しいため、過去に読んだ本に関しては気が向いたらレビューを行います。
今回は、稲川淳二さんの「稲川怪談 昭和・平成傑作選」をレビューしていきます。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
怪談の評価基準
怪談の好みは人それぞれありますが、僕の場合は以下の基準で評価を行います。
プラス評価 | マイナス評価 |
---|---|
リアリティがある 単純に怖い 不気味な雰囲気がある 不思議で謎めいている 何かロマンを感じる 興味深い ワクワクして面白い 感動する | 創作感が強い 話に矛盾がある 脚色しすぎている ありきたり どこかで聞いたことがある 読んでも何も感じない 単純につまらない |
まず大前提として、僕は本当にあった怪異や不思議な出来事を語る「実話怪談」が好きなので、あまりにも現実離れし過ぎている話や、矛盾がある怪談は評価が低くなります。
また著者の地位・知名度・人気度・好感度などには一切忖度せず、レビューを読んでくれる方の参考になるように、純粋に本の内容だけを見て厳しくレビューを行います。
基本的に僕の評価は少し厳し目なので、通販サイトのレビューよりも点数が低くなる傾向があります。
「稲川怪談 昭和・平成傑作選」レビュー
著者 | 稲川淳二 |
---|---|
出版元 | 講談社 |
発売日 | 2021/06/17 |
話数 | 40話収録 |
Amazon評価 | 4.5 |
タレント・工業デザイナー・怪談家。深夜ラジオで人気を博し、「オレたちひょうきん族」「スーパージョッキー」などテレビ番組で元祖リアクション芸人として活躍。またラジオやテレビでの怪談が好評を博し、1987年に発売されたカセットテープ「あやつり人形の怪 秋の夜長のこわ~いお話」が大ヒットとなり、以後「怪談家」としても活動。
全国を巡る「稲川淳二の怪談ナイト」は2021年で29年目を迎え、披露した怪談は約500話、動員数延べ61万人に達し、現在も年間50公演ほど開催している。
収録されている怪談のタイトルと一話ごとの評価は以下の通りです。
一応どんな話だったのかジャンルを表記していますが、人によって「不思議な話」と感じる方もいれば「怖い話」と感じる方もいると思うので、あくまでも参考程度にしてください。
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | おじさんと見た白尾 | 不思議 | 3.0 |
#2 | 虫の知らせ | 不思議 | 3.5 |
#3 | 長田君の話 | 不思議 | 3.0 |
#4 | 弁天岩の死体 | 寂しい | 3.5 |
#5 | ばかばかしい話 | 面白い | 2.5 |
#6 | 真夜中のエレベーター | 不思議 | 3.0 |
#7 | 三月の工房 | 不思議 | 2.5 |
#8 | 宿坊 | 不思議 | 2.5 |
#9 | 宝物殿 | 怖い | 3.0 |
#10 | 首吊りの因縁 | 不思議 | 3.0 |
#11 | リヤカー | 怖い | 3.0 |
#12 | 血を吐く面 | 怖い | 3.0 |
#13 | 迎えにきたマネージャー | 不思議 | 3.5 |
#14 | ロケバス | 怖い | 3.5 |
#15 | 憑いてるタクシー | 怖い | 3.0 |
#16 | 銀星号 | 不思議 | 2.5 |
#17 | スーパーの調理場 | 怖い | 3.5 |
#18 | クラス会 | 不思議 | 3.0 |
#19 | 探しもの | 怖い | 3.5 |
#20 | 長い死体 | 怖い | 3.5 |
#21 | 東北の山林の邸 | 怖い | 3.5 |
#22 | 奥秩父の吊り橋 | 怖い | 3.5 |
#23 | 立川の踏切 | 怖い | 3.0 |
#24 | 吹上トンネル | 怖い | 3.0 |
#25 | 新島の海軍基地 | 怖い | 3.0 |
#26 | 川崎の消防署 | 怖い | 3.0 |
#27 | 小淵沢のT字路 | 怖い | 3.0 |
#28 | 樹海 | 怖い | 3.0 |
#29 | 犬鳴峠 | 怖い | 3.0 |
#30 | 沖縄の廃屋 | 怖い | 3.5 |
#31 | 赤いはんてん | 怖い | 3.0 |
#32 | ゆきちゃん | 怖い | 3.5 |
#33 | 暗闇の病院 | 不思議 | 3.5 |
#34 | 夢の中の踏切に立つ女 | 不思議 | 3.0 |
#35 | ミシン | 怖い | 3.5 |
#36 | 深夜の訪問者 | 怖い | 3.5 |
#37 | 遅れてきたふたり | 怖い | 3.5 |
#38 | 身代わり人形 | 怖い | 3.5 |
#39 | 赤いぽっくり | 不思議 | 3.0 |
#40 | 緑の館 | 不思議 | 3.5 |
タイトル | ジャンル | 評価 | |
---|---|---|---|
#1 | おじさんと見た白尾 | 不思議 | 3.0 |
#2 | 虫の知らせ | 不思議 | 3.5 |
#3 | 長田君の話 | 不思議 | 3.0 |
#4 | 弁天岩の死体 | 寂しい | 3.5 |
#5 | ばかばかしい話 | 面白い | 2.5 |
#6 | 真夜中のエレベーター | 不思議 | 3.0 |
#7 | 三月の工房 | 不思議 | 2.5 |
#8 | 宿坊 | 不思議 | 2.5 |
#9 | 宝物殿 | 怖い | 3.0 |
#10 | 首吊りの因縁 | 不思議 | 3.0 |
#11 | リヤカー | 怖い | 3.0 |
#12 | 血を吐く面 | 怖い | 3.0 |
#13 | 迎えにきたマネージャー | 不思議 | 3.5 |
#14 | ロケバス | 怖い | 3.5 |
#15 | 憑いてるタクシー | 怖い | 3.0 |
#16 | 銀星号 | 不思議 | 2.5 |
#17 | スーパーの調理場 | 怖い | 3.5 |
#18 | クラス会 | 不思議 | 3.0 |
#19 | 探しもの | 怖い | 3.5 |
#20 | 長い死体 | 怖い | 3.5 |
#21 | 東北の山林の邸 | 怖い | 3.5 |
#22 | 奥秩父の吊り橋 | 怖い | 3.5 |
#23 | 立川の踏切 | 怖い | 3.0 |
#24 | 吹上トンネル | 怖い | 3.0 |
#25 | 新島の海軍基地 | 怖い | 3.0 |
#26 | 川崎の消防署 | 怖い | 3.0 |
#27 | 小淵沢のT字路 | 怖い | 3.0 |
#28 | 樹海 | 怖い | 3.0 |
#29 | 犬鳴峠 | 怖い | 3.0 |
#30 | 沖縄の廃屋 | 怖い | 3.5 |
#31 | 赤いはんてん | 怖い | 3.0 |
#32 | ゆきちゃん | 怖い | 3.5 |
#33 | 暗闇の病院 | 不思議 | 3.5 |
#34 | 夢の中の踏切に立つ女 | 不思議 | 3.0 |
#35 | ミシン | 怖い | 3.5 |
#36 | 深夜の訪問者 | 怖い | 3.5 |
#37 | 遅れてきたふたり | 怖い | 3.5 |
#38 | 身代わり人形 | 怖い | 3.5 |
#39 | 赤いぽっくり | 不思議 | 3.0 |
#40 | 緑の館 | 不思議 | 3.5 |
印象的だった怪談
印象的だった怪談を1話ピックアップして、簡単にあらすじを紹介します。
身代わりの人形
これは和歌山のとある女性の話で、その方が女子高生の時の体験談です。
彼女は春に地元の高校を卒業して、憧れの大阪の短大に入学が決まった。ところが、その頃から彼女の周りに不可解なことが起こり始める。初めの頃は机に向かっていると、どこからか人に見られているような視線を感じていた。気になって部屋の中を見回して見ても別に変わったこともなく、誰もいるわけがない。そんなことが頻繁に起こるようになった。そのうちに、机に向かっている自分に背後から誰かが近づいてくる気配がしてきた。
「あ、お母さん?」と思って振り向いてみても誰もいない。時にはヒタヒタヒタと去って行く足音がすることもあった。さすがに気味が悪くなったので、その話をお母さんにしてみたが、「大学でひとり暮らしが始まるもんだから、興奮してんじゃないの?」と言われた。
このあともどんどん彼女の身の回りで怪異が存在感を増していくのだが、それは彼女もお母さんも忘れていたある人形が原因だった。
まとめ
がお的総合評価 | 4.0 |
---|
「稲川怪談 昭和・平成傑作選」には、怪談界のレジェンド稲川淳二さんが過去に語った怪談が4つの章に分かれて40話収録されています。
- 第一章:怖い記憶(10話)
- 第二章:怖い噂(10話)
- 第三章:怖い場所(10話)
- 第四章:怖い噺(10話)
怪談はすべて話し言葉で書かれているので、文字を目で追うだけで稲川さんが語っている様子が容易に想像でき、稲川さんの声が脳内再生されます。
もし稲川さんの怪談を聞いたことがなければ、YouTubeに公式チャンネルがあるので、何話か稲川さんの語りを聞いてから読むとより楽しめるはずです。
内容に関してですが、前半はちょっとした小話やちょっとした怪異の話が多く、後半になるにつれ徐々に怪談らしい話が増えて来ます。
中には現実離れし過ぎて、怪談というよりアニメ日本昔話に出て来てもおかしくないレベルの話もありました。
また僕は怪談の中でも現実味のある”実話怪談”が好きなのですが、何話か「なんでそんなことわかるの?」と疑問に思った話がありました。
たとえば「赤いはんてん」という話では、婦人警官が一人で夜のトイレを張り込む場面があり、張り込み中にそのトイレで亡くなるのですが、周りに誰も人がいないのに、なぜトイレ内でのセリフや出来事がわかるのか疑問です。
ただの怪談好きであれば気にも止めないことかもしれませんが、実話怪談好きとしては、そういった細かいディティールがちょっと気になりました。
とは言っても、40話たっぷりと稲川さんの怪談を楽しめたので、怪談好きの方や稲川淳二ファンの方におすすめできる一冊でした。
レビュー済みの怪談本は以下でまとめています。
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